御朱印はもともと参拝者が寺院に写経を奉納した際、その証として授与されたもので、いわば受領印のようなものでした。御朱印を授与するところを納経所、御朱印を納経印と呼ぶ寺院があるのはそのためです。そして江戸時代までは仏教の寺院と神社はほど一体化されていましたから、神社でも納経は行われていました。ですから神社にも御朱印があるのです。

神田神社御朱印

写経は供養のため、あるいは祈願のために行われる大事な宗教行為ですから、写経を納めたという証をいただくこと、つまり御朱印をいただくということは単なる観光記念のスタンプラリーとは意味が異なります。

例えば、室町時代後期、戦国大名たちが文書類に自分の印を押すことが慣例化し、朱印は正式文書の発行者とその責任を示すためになくてはならない存在になります。これがいわば「朱印状」です。

織田信長や豊臣秀吉などの著名な戦国大名たちも、頻繁に朱印を用いていました。例えば織田信長は自らの指令を家臣に伝える際の文書には朱印を、また指令伝達以外の私信には黒印を用いたといわれています。このように朱印は黒印に比べて格式が高く、命令の強制力が強いとみなされるようになっていきました。そのため御朱印を「ありがたいもの」とする認識のルーツが潜んでいるとも言われています。

武田神社御朱印

近世になって遠方の有名な神社や寺社への参拝が一般的なことになると、納経の証というよりも参拝の証として御朱印が授与されるようになりました。しかし現在でも御朱印をいただく際には納経が必要なところがあるように、本来は真剣な宗教行為であることを忘れずに御朱印を拝受したいものです。

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